Write to Do the Right Thing

I create things and write about them here as well as other stuff. Views are always mine.

How I am doing 新しいことをする時間がなく

前の記事にも書いた通り,このブログは閉鎖しようとしています.どうでもいいことなのですが,このブログを書こうとしたときに考えていた問題意識がなくなってきた(というか他のものに関心が移っていった)からです.新しい目的(実はそれが見つかっていない)の上での新ブログを立ち上げる時間がないのでここに書いています.

いまは,日常でルーティーンでやらなければいけないことをこなしながら,新しい本を出すべく準備をしています.そういう毎日がいろいろな意味で何だか辛くて,そして,電車に乗っているとき,歩いているときに他の人をちらっと見たりするときにどの人もみんななんだか苦しそうで生きることがもっとシンプルに楽しいものになったりしないんだろうか,と思ったりする今日この頃です.

話が逸れてきました.ぼくの私生活の中で味合うつらさは別として,ぼくがなんだかやる気を失なってしまうのは,やっとの思いで出した『はじめてのTOEIC® L&R テスト きほんのきほん』(スリーエーネットワーク)や『ネイティブなら小学生でも知っている会話の基本ルール』(テイエス企画)が思ったほど売り上げが伸びていないことです.後者はこのあいだtwitterで日向清人先生にご紹介いただいたようで瞬間最大風速的にAmazonの順位が上がりました.ただ,AIがコントロールしているので,こういうことがあっても在庫の補充の対応が追いつかないで飽きられてしまうんですよね.ごく最近になって在庫が再び戻ってきたようですが,それからの購入はないようです.難しいものだと思います.

ところで,日向清人先生と云えば,最近『国際標準の英単語 初級』(秀和システム)を出されましたが,ごく数日前にこの本の担当編集者に会いました.で,そのときに互いに話題になったのが,Anti-Intellectualism in American Lifeという有名な古典にもある(ぼくはこの本を持っていますが読み通したわけではありません),反知性主義というやつです.いや,おそらくWashingtonを支配する政治エリートに対する庶民の素朴な暮らしのなかに真実があるというアメリカ人たちの考え方自体は知性も教養もないぼくからも同意する部分もあるのですが,現在日本で起こっていることはより深刻だと思っています.近代人である(になる)ことをみんなが意図的に諦めているような気さえします(こんなことをいうとフツーの人にいやな顔をされることは解っていますが,最近たまっているイライラに任せてこういうことも書くことにします).

で,このことは英語本の売れ行きにも影響を与えるようで,いくらいい本を出しても売れないのでは,ということもときどき思うことがあります(ぼくの本がというわけではないです.念のため).英語本の編集者の人たちにはさすがにこの状況は見えていて,どうするのか,という選択を迫られているのだと思います.

高橋基治先生のような英語力も高く,同時にマーケットを見ることも怠らない先生は

マンガでおさらい中学英語』(KADOKAWA)のようなヒット作を出せるのでしょう.純粋にスゴイな,と思います.この本ではないのですが,高橋先生とよく一緒に仕事をする編集者とも仕事をしていますが,彼と一緒にやろうとしている企画もこの問題を超えないとなあ,と悩んでいます.直接いつもそういう話はしませんが,彼自身もここでなやんでいるんじゃないか,と思います.

ということで,現状ではぼかしてしか書けないですが,3つほど本の企画があって,なかなか前に進めないでいます.高橋基治先生と同じことはできませんが,なんとか,自分なりに軽い気持ちで英語をやってみようと思っている学習者に向けていい本が出せればと思っています.こう書いているのは,ここまで書いてきたようないい本が売れずどう考えてもしょうがないような本が売れていることにイラつく反面,この状況の中でいたずらにごくごく一般的学習者やまだ若い英語指導者(残念ながらぼくは老人なので当てはまりません…)をバカにする一部の影響力を持った人たち(インターネット上でよく目にするような話ではありません.知る人ぞ知るあの人たちも実は偉そうなことを云っていて適当だよな,という話です.これ以上は書けません)も少し違うのでは,と考えているからです.それはいま行なわれているW杯でドイツが決勝に進めず,なぜか日本が進んでしまう(余計な話ですが,ぼくは日本代表を取り立てて応援する気もありません.不謹慎なことを云えば,さっさと負けて欲しいと思っています.それほど詳しくないですけど,大迫選手や柴崎選手らがある程度頑張っていていいプレイを見せていることぐらいは解っていますが)のと同じで,ある意味しょうがないことだし,そこでどうするかからしか始まらないので.

Last Word いまちょっと考えていること

3月の頭に出た『英語ライティングルールブック-基本を学び構成力を養う』(Amazonの表示ではこういうタイトルになっていますが,本当は『基本を学び』からはじまるのが正しいタイトルです)はネットでは売れているようですが,まだ市場には大きな本屋を除いては出回っていないようです.春先になって始まる語学フェアで全国の書店に並んでいくことを期待します.

ところで,前にも書いたように,ぼく個人は,今も将来も日本人の殆どがこの本のレヴェルをマスターするべきとも思っていません.それは見果てぬ夢だと思います.人によっては熱く日本の英語教育を語る人もいますが,ぼく個人は高校卒業時にネイティヴからみても英語ができる人からみてもかなり低いレヴェルで必要が生じたときに片言でちょっとしゃべれればそれで充分です.正確に英字新聞やペイパーバックを読むことや英語での論理的な表現(これはcritical thinkingのことですか?)なんて,高卒はおろか大卒だってみんなに要求することなんてできるわけがないでしょう.

いま,上に「みんな」って書きましたね.で,「みんな」っていうのは当然,相対的に「相当」できない人も含むわけです.だから,それを考えたら,当然,「片言でもしょぼい会話ができるようになること」が現実的だと思います.ぼくはここでの考え方は一貫しています.前,「今日やったことを朴訥な英語で話せない人がデモクラシーを語るなんてさらさらおかしい」とどこかで書いたはずです.まずは「知的な英文が読めること」と思ったことはありません.語彙で考えても,GSL (General Service List)がAWL (Academic Word List)より当然先にくるわけですよね.この基本語の習得を無視して,教養を深めるための深い読みを目指す昔ながらの英語教育もできやしないディベートやプレゼンを掲げる改革派もおかしいんじゃないか,といいう印象しかありません.

でも,これは「みんな」を相手にしたからで,この中でできる人,20人や100人に1人,どういう人材が必要なのかといえば,それは英語がフツーに使える人でしょう.

さて,ここでわざと日本語の論理に立って少し外れた書き方をします.ぼくはテレビや新聞を読まないので詳しくは把握していませんが,いま「森友学園の問題」が国会で取り上げられていますよね.で,去年もこの話題があがったときに,火付け役となった『日本会議の研究 (扶桑社新書)』の著者・菅野完(すがの・たもつ)氏という人がいるのですが,ぶっちゃけて書いてしまえば,彼の書き手としての能力が同じ対象を取材した物書きよりもずば抜けて鋭いのは英語ができるからです.あくまで憶測に過ぎませんが,世界基準のフリをして適当な言論をしているリベラル・保守を問わない御用学者たちよりもずっと英語ができるはずです.上掲の著書の日本語を見ても(いっさい英語とは関係がないが),英語ができるんだろうな,というのはちょっと鋭い人ならわかると思います.

で,政治家や官僚とかエリートビジネスマンのようになる人ではなく,ごくごくフツーのフリーターだったり,主婦をしていたり,小さなお店を経営していたりそういう人のなかでポツンとこの菅野氏クラスの英語の使い手が現れればいいな,と思ったりします.まあ,それはさっきもいった「20人や100人に1人」という話なのですが.『英語スピーキングルールブック−論理を学び表現力を養う』(本当は「論理が」からが枕です)はそういう人たちの基礎力ぐらいのつもりで書きました.最近,3刷が決まった『「意味順」で学ぶ英会話』とは対象が違います).

まあ,ただ,そういう卓越する英語力の基礎は何か,というとやはり単語力なのですが.いや,語句の意味を覚えていることじゃなくて,イメージが体感として分かっていて,その後を含んだごくフツーの表現を自分で生み出せることです.そういえば,まだ目にしていませんが,こういう本もでましたね.

国際標準の英単語 初級

国際標準の英単語 初級

 

 

どうでもいいこと:

このブログは近いうちに閉鎖します.今後はまた新しいブログを立ち上げるかもしれませんが,すぐにとはならないでしょう.いまはどうしても書きたいいくつかの本の企画を通すことで忙しいし,少し違うことを考えたいからです.読んでくれたみなさんありがとうございます.

とりあえずは,ぼくが管理しているアカウントではないですが,TOEICやビジネス英語の超基本語彙を扱った@BasicTOEICVocabTwitterでフォローしてください.書籍用じゃないので少しデータが粗いですが,学習用の例文と紹介しているネイティヴが作った見出し語の英語をよーく読むと初級者以外の学習者も良い勉強になるはずです.

 

General to Specific AND Specific to General 求められるのは応用性の高い実用スキル

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愛場吉子さんの新刊をご恵贈いただきました.プレゼンの本ですが,語学的な要素のポイントも多すぎず,少なすぎず入っているのでプレゼンそのものをする機会が少ない人でも学ぶことはいろいろあると思います.

例えば,

これから話すことの前置きをする➡︎メインメッセージを伝える➡︎詳細を説明する,というステップはパラグラフ構成などの英語の論理展開そのもので,プレゼンに限ったものではないからです. まとまった長さを話すとか書くとか,そういう作業にも応用できるはずです.このように英語の学習が現場に必要なスキルを身につけられるものであることが望まれる一方,特定のスキルの学習が別のコンテクストでも使えるような応用範囲の高い英語の原則を学ぶことにもつながっていくことが求められているようだな,なんてちょっと思いました.

あと,本のデザインがいいですね.初級者用の本はまだ目立つようにするというのはわかりますが,上級者用の本はやっぱりシンプルで派手でない方が,印象はいいと思います.と考えるのはぼくだけかもしれませんが…