Write to Do the Right Thing

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Beginners do not need a dictionary. 初級者に辞書はいらない

国語の先生と同じように熱心な英語の先生は学習者が英語ができるようになる過程として辞書の使い方を学ぶことを重要視している人がけっこういるようです. 

はじめてのTOEIC® L&R テスト きほんのきほん

はじめてのTOEIC® L&R テスト きほんのきほん

 

 面倒なので多くは書きませんが,いまは学習英和辞書そのものが90年代ごろに較べてガンガンとだせるような環境ではなくなってきましたが,それでも昔に比べるとコロケーションを入れたり,核になる意味をまとめたりと使いやすいものになってきたと思います.

でも,私見を述べれば,入門者・初級者段階では辞書なんかいらないと思います.というかかなり工夫された辞書をつくったところで,学習者は使いこなせないからです.辞書を引くのは基本的にただの作業になってしまうぐらいならば,その作業に使う時間を学ぶべき英語を取り入れるために読み返したり,口ずさんだりしたほうがいいと(あくまでぼく個人としては)思っています.

だから,国際語学社からでたころから『きほんのきほん』では語彙リストをつけています.それもどうせすぐ覚えられないだろうと思って,何度でも同じ語句を紹介しています.たとえば,want X to do なんて何度入れたかわかりません.後ろのほうに行ってもまだ覚えていなければまた見ればよいと思っているからです.どうしても覚えなければならないすなわち再頻出語であれば,この本のなかで何度も何度もでてくるので違った文脈で何度も何度もそうして出会うほうが,自分に関係ないかもしれないことを含めて辞書の説明を読むよりも英語力がつくと思います.

それでも覚えられないというのであれば,問題はやらなくてもよいので,テキストにでてくる会話やトークやパッセージをもう1度聴いたり・読んだりしてみてください.

中学校の検定教科書はよく批判されますが,大概教科書のいちばん下かよこに新しくであう語がまとめてあって,さらに本の一番最後に意味とともにでてくる単語がまとめられているという本のつくり自体は非常によいと思います.なかのテキストが覚えるに値する英語にさえなっていれば(これが語彙・文構造の制約があるときついのでしょうね.ぼくはあまりやりたくありません),こういうつくりのテキストは入門・初級者向けとしては非常によいものだと思います.

ということで,この本は「TOEIC初受験の人に」というよう勧めてくださる人が多く,それはそれでありがたいのですが,どちらかというと受験回数はあまり関係なく英語に自信がなくて(何か事情があって)TOEICを将来的に受験する(ことを考えている)学習者に使って頂けたらと思っています.版元がうつって,新形式対応になってたぶん新たに1万語近く書き下ろしたと思います.だから,全体で2万3000語ぐらいはいくこの本の中で1000語程度の基本語(GSLなどの2000語制覇はまだ先です.まず欲張らず最初の1000語ぐらいから)に2度3度と云わず,5回から10回出会ってモノにしていただければと思います.

Gone to Second Print! 『800点攻略ルールブック』が!

アイドルが使ってくれたせいか,第2刷(「だいにずり」と発音するようです)に進んだようです.まあ,よかったよかった.

bb-plusblog.hatenablog.com

はじめてのTOEIC® L&R テスト きほんのきほん』のほうもできるだけ早く増刷してほしいと思います.これはもう少しかかると思います.

No more grammar books?

多くの英語学習者は文法があまり好きではありません.ぼくも大嫌いです.しかし,多くの英語の先生や英語本の著者は文法が好きだったりします.極端な話,ぼく自身が書いた本は,文法が好きでない(はずの)学習者と文法が好き(だから余計な説明してしまいがち)な英語の先生という前提(というか仮説)に基づいて執筆しているようなところがあります.いまは,何年も前から話があって出そうと思っていた初級者用のライティングの本がようやく校正という段階に進もうとしています.この本も初級者はセンテンスが書けない,という事実から,センテンスが書けるようにする手助けをする上で従来の文法を単純に提示するようなことがないようにいろいろ悩み続けています.

グダグダと自分だけで悩んでもいいのですが,それほどの頭脳もないので,いろいろ資料にあたり,切り口を探していますが,日本の真面目な英語教師にとって評判の高いPractical English Usageなどもreferenceとしてはよいのですが,英語のしくみを自分にインストールするためのOSという感じではないような気がします.

で,昔,教わった先生が好きだった(という噂のあった)Hallidayがはじめたとかいう機能英文法を勉強してみようと思いました.で,最初は日本人の学者が日本語で書いている「機能英文法」の本を見ましたが,正直まったくわからない(最近,クリストファー・ベルトンさんというイギリス人の先生が比較的わかりやすく書いていることを知りました).で,これはひょっとすると原書は意外とシンプルなのをわざと日本語にするときに自分が賢くみせているやつかな,と勝手に決めつけて,原書を見ましたが,これがまた難しい.

で,行き着いたのがオーストラリアの国語教師向けの文法書.これは簡単とは云わないけど,なんとなく読んでいて「あ,そうそうこういう感覚なんだ」と腑に落ちる点も結構あり,読んでいて楽しいな,という感覚が文法の嫌いな自分にも生まれて着ました.下の本(ぼくがもっているのは,たぶん最新版の3rd edition) がおそらくいちばんいいのではないかと思います.ライティングの本を書くのに1番役に立ったのはこの本ではなくKnapp & WatkinsのGenre, Text, Grammar: Technologies for Teaching and Assessing Writingという本ですが.

Using Functional Grammar: An Explorer's Guide

Using Functional Grammar: An Explorer's Guide

 

 こういう本を読んでつくづく感じるのは,田地野先生自身が述べられていることでもありますが,「意味順」というのもやはり大きくはこのFunctional Grammarに属するんだなあ,ということです.

いま書き手として,つらいのは,Functional Grammarが品詞と文型による英語の知識が備わった学習者向けのものだと少なくとも日本では考えられていることです.「意味順」についても,「インプットは5文型で,アウトプットは『意味順』で」というような人がかなりの数がいます.ぼく個人は5文型は最初から最後まで要らない(使ってしっくりくるという人を止める気はないですが),と思っているので,違うように感じています.というのは,文型を英語に素直に訳せばsentence patternsになるのでしょうが,理論としてはこれはcaseの理解にあたるのではないかと思います.そして,このcaseという考え方は少なくとも英語(ドイツ語などでは知りません)では初級者が簡単に咀嚼(そしゃく)できるものではないような気がします.

長くなりました.いま,考えているのは最初から(知識ゼロから),Functional Grammarでいけるうすい文法書(正直,英語が苦手な学習者に300ページを超えるような文法書はきつい)を世に出すことです.いろいろ構想を練っているところです.

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Betrayed by the future in the past 現実のキツさというもの

今回はちょっと違うことを書きます.

はじめてのTOEIC® L&R テスト きほんのきほん

はじめてのTOEIC® L&R テスト きほんのきほん

 

 日向清人先生の『クイズでマスターするGSL基本英単語2000』が売れたり,田地野彰先生のA New Approach to English Pedagogical Grammar: The Order of Meanings (Routledge Research in Language Education)やCEFRの利用に関わっている研究者たちが書いたCritical, Constructive Assessment of CEFR-informed Language Teaching in Japan and Beyondが世にでるなど,日本の英語教育はある意味では少しずつ良くなっているのかもしれません.

しかし,はっきり書いてしまえば,ほとんどの英語学習者にとって英語学習がキツい,苦しいものであることは変わりありません.ある人にとっては絶望でしょう.で,そういう人たちに向けて教材を作っていてもなかなか売れないぼく自身がなんとも云えない憂鬱さに陥ることがあります.で,彼らにとってなぜ英語学習というのはキツいのだろうかということをちょっと考えて見ました.これは英語自身のキツさとは多分関係ないのだろうと思います.「意味順」にせよ,GSLにせよ,discourseを抑えた効率の良い学習を提示しても最初のところで勉強(をする・続ける)ができない,という根本的な問題については解決するわけではありません.

最近,久しぶりにTwitterを見ました.この前も書いたアカウントを覗くためです(アイドルのアカウントではありません).そして,そこに珍しくいま流行っているらしい音楽のことが書いてありました.ぼくは最近の音楽は知りません.老人ですから.でも,それを読んで,紹介している曲を聴いて思ったのは,あのよくわからない恋ダンスという歌を作った星野源(ほしの・げん)という人は今の時代の小沢健二なんだな,ということです.

人のことは云えないけれども,あんまり歌がうまくないような気がするし,そしてこれは多分天性のものなのかもしれないけれども,Mr. Children桜井和寿のように伸びていくタイプの声でないので,メロディーをゆっくりにしたり,ある母音を長く伸ばして歌ってもそれほど響かないような気がしました.でも,それでも人気がある,というのはやっぱり歌詞がいいからじゃないかな,と思いました.

厳しい現実の中では,大概のことは変わらない,希望なんてかすかなもの,夢(=妄想)に浸るのはいいが,下手に現実世界に期待すると裏切られる,というようなメッセージが入っていることです.ヒットしている曲だけど,歌詞を聴くと,限りなく暗い,でも,これが今の時代の若者には合っている感覚なのでしょう,多分.

で,思ったのは,学習者が勉強をできない・続けられない,ってまさにこのことじゃないかと.ずっと英語学習に裏切られてきたわけで,おとといも昨日も勉強してきたけれども,さっぱり自分ができない現実は変わらない.で,できる人からすれば「努力が足りないんだ」ということなのでしょうが,そもそも,努力して,英語力的には少し上がったといえ,それが何になるのだ,という気持ちが強いのでしょう.

英語に限らない受験勉強でもそうなのですが,あまりに「成功のための努力」を強調しすぎると,タダでさえ,繰り返しを要求する学習がより辛いものになってしまう.そこで,知識を伝達する側がどうするのかは考えどころです.こちら側はこちら側で,多分,色々手を尽くしているのに現実は変わらない(勉強してくれない)という絶望のようなものがあるのでしょうが…

 

Just a teeny tiny thing may affect you. ちょっとのことで変わる

Amazonの商品名表示は正しく表示されるようになったはずなのだが,ブログ上だとまだ上手く出ないようだ) 

はじめてのTOEIC L&R テスト き

はじめてのTOEIC L&R テスト き

 

 ある日,奈緒子さんは,瑞穂さんが出てくるテレビ番組を視聴した.いつもならば絶対に見ないくだらないクイズ・ショウだ.彼女は,話していた通り,水泳選手に英語でインターヴューしていた.あまりうまいとは思わなかったが,堂々としていた.

その後,番組の司会者に「英語が得意な才色兼備」なんですね.と云ってエヘヘと笑って見せたところはいい感じがしなかったんだけど,その時,どれぐらい英語ができますか,と云って「一応TOEIC900あります」と云っていたのがちょっと引っかかった.

「トウイック」というのを奈緒子さんは聴いたことはない.英語の試験らしいが,奈緒子さんが知っているのは,海外から帰ってきたときに受けさせられた英検ぐらいで,他は留学する人たちがIELTS, TOEFLという試験を向こうで勉強できるのに十分な英語力を示すために受けることぐらいしか頭にない.確か自分の友達のカナダ人がIELTSの面接官をしていると云っていた.インターネットで検索して見ると日本ではたくさんの受験者がいるようだ.

瑞穂さんに「英語ができるのにもったいない」と云われたこともあり,その試験を受けて見ることにした.そんなに高くないが,試験会場でやたらと待たされるのが嫌なのと,試験自体がすごくdryだったのを覚えていた.

1ヶ月ほどでテストが返ってきた.975と記されていた.良いのか悪いのかも知らなかった.でも,上級者は860以上というようなので,それほど気にしなかった.

To be continued ...

As if it was a teeny tiny thing ちょっとのことだと片付けたい

「私,卒業して,テレビ局に入ったんですよ.今日はちょっと先輩に取材をお願いしていたんですよ」

 瑞穂さんは爽やかな笑顔で云う.これは嘘なのかもしれないし,本当なのかもしれない.でも,奈緒子さん自身に瑞穂さんに対してはなんの悪い感情も持っていない.もっと云えば,旦那さんに対してもあまりない.

「そう.忙しいの」この時間が早く終わってくれれば,と思いながら適当に相槌を打つ.

「はい.奈緒子さんは何かなさってるんですか?」

「いや,私は何も.趣味でガーデニングをしているだけ」

奈緒子さん,英語ペラペラなのにもったいないですね.今度私,外国人選手にインターヴューするんですよ.私英語そんなできなくて大変で」

 

 そんな形で2人とは別れた.とくに夫にあなたあの子とできているんでしょ,というようなことを追求する気はなかった.それよりも,自分に対して怒りが出てきた.今の暮らしは自分の選択の結果,得られたと思っていた.ある程度収入を保証できるパートナーについてその中で,自意識を忘れられるようなコミュニティーを見つけてやっていく.結婚はそのためにした.だが,もし,夫が瑞穂さんとずうっと付き合っていたのだったとしたら,そのような選択をしたのは彼なのかもしれない.元々見栄えがする瑞穂さんは表にでたがるはずだ.そういう本命の女性と別れず長く交際するために,とりあえず自分と結婚したのではないかと.夫は頭が良いので,それくらいのことは考える.そう思うと浮気をしたとかそんなことよりも,自分がゲームに負けているような気がして腹立たしかった.

 そんなゲームへの敗北感があることをきっかけに,奈緒子さんを別のゲームに向かわせた.そして,いよいよTOEICにつながる.

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Is this just a teeny tiny thing? ちょっとのことだけど

サークルのアイドルだったその子は瑞穂さんという名前で,セスと別れた日,彼がこの子と一緒にいることを見てしまったが,その夜に電話がかかってきて,彼がなぜだかよりを戻してくれと行ったので,「結婚してくれるなら」と云って見たら2つ返事でOKした.彼が瑞穂さんと会っていたのは別に誰にも話さなかった.彼はこの女の子と別れると思ったし,その後,サークルで何度か顔を合わせることもあったけれども,2人がまだつながっている可能性はないと思っていた.

奈緒子さんは,女性としての外見的な,ちょっといやらしい云い方をするなら性的な魅力で,瑞穂さんに優っているとは思っていない.あの頃もそうだし,今も多分そう.大人になってお化粧やファッションは上手くなったが,人を惹く大きな目だったり,女性らしい柔らかそうな,かつ健康そうな体つきを自分はしていないことは知っている.

ミシュリーヌやカトリが話していることがちっとも頭に入ってこない.何か自分の中でしっくりいかないことが起こっているのがわかっていて,それを修正しようとするだけでいっぱいだった.でも,ひとつだけ確実に意識にあるのは,今度も黙っていようということだった.しかし,その試みは向こう側にいるふたりにとって壊されてしまう.

はじめにその沈黙を破ったのは夫だった.奈緒子さんに気づいたようで,短い声で瑞穂さんに何か云う.当然離れているので聞き取れない.でも,瑞穂さんは振り返る.そして,驚き,そして,すぐに微笑みを浮かべる.そして,「奈緒子さん!」と屈託のない笑顔で近づいてくる.

瑞穂さんだけの表情を見るとふたりの間には何もないと思うかもしれない.しかし,自分もそうだが,こういう表情をコントロールをするのは一般的には女性は割と得意だ.一方,旦那さんの顔にかすかな「しまった感」が出ているのを奈緒子さんは見逃さない.奈緒子さんは思う,「やっぱり2人は続いていたのか,最近始まったのか,できているのだ」

To be continued ...