Write to Do the Right Thing

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アウトプットとインプットについて考える

インプット、アウトプットはどちらも重要なのですが、その2つがどのような関係になっているかということを知っていると今後の学習に弾みがつくと思います。それについて書きたいと思います。 まず、ひとつ Second Language Acquisition (第2言語習得理論、以降 SLA と略させて戴きます)の専門用語を紹介します。 interlanguage という単語です。覚えやすいので、せっかくだから覚えてください。ぼくは、言語学用語の日本語訳には詳しくないのですが、たぶん、「中間言語」と訳すと思います。しかし、ぼくにはなじみのない言葉なので interlanguage と以降書いていきます。 さて、私たちのような外国語学習者の学習モデルを考えたとき、まず、自分の母国語(native language, mother tongue) を考えます。これは、NL とかあるいは、翻訳とかをやってらっしゃる人は SL (source language) とか云うらしいですが、便宜上、first language のことを L1 とします。 それに対して、学んでいる外国語のことは、target language とか云ったりしますが、TL とすると上ときれいにそろわないので、L2 としておきます。で、英語は別に第2言語じゃない、先にフランス語をやったから、中国語をやったから、L3 のはずだ。とよけいなことは云わないでください。そこまで書いているときりがないからです。ちなみに、L1, L2 という表記自体は別にぼくが勝手に考え出したものではないですよ。 さて、一般的に、外国語の習得というのは、 L1 ---> L2 となるものと考えられています。まあ、当然と云えば当然です。最初は、新しい外国語について何もない状態ですが、それがいろいろと学習していくことによって、その外国語のネイティヴと同じように近づいていくことですから。 ただ、---> だけではその間に何があるのかわからないですよね。というか、みんなそれが知りたいわけだし、それがわからないから、悩んでいるわけです。世の中で、いろいろ云われている英語学習法の違いはこの ---> の部分での対立です。全部、一切 L1 を学習過程に使わないという direct method も、L1 の知識に張り付けるように英語を学習していくいわゆる「文法訳読法」 grammar-translation method も結局は、この ---> の行為にあたります。 なかなかこのモデルだと埒(らち)があかないので、間に何かを入れた人がいました。それが、 L1 --- interlanguage ---> L2 interlanguage の定義はこうです。
the type of language produced by second- and foreign language learners who are in the process of learning a language. (Longman Dictionary of Language Teaching & Applied Linguistics)
まあ、ノンネイティヴの人がアウトプットとして自分で作った英文は(完全にネイティヴのものと同じ英語でない限りは)すべて interlanguage になるわけです。この interlanguage というのは、おそらく Selinker という学者が見つけた考え方だったと思います。 Selinker 1972 と上で引用した辞書にも書いてあります。 この interlanguage というのは、まあ、学者が抽象的に考えたモデルで、誰も見たことはないんですね。 ただ、このモデルを軸に英語学習を考えるとある程度、便利な部分があることは確かです。これについて説明しますね。 上(↑)でぼくは両極端の direct method と grammar-translation method を並べましたが、ここで2派が対立する部分は error についての考え方です。direct method は L1 によって影響される error を嫌います。だから、なるべくネイティヴの真似を機械的に真似することで、error そのものを少なくしようとします。それに、grammar-translation method はそれは何も考えていないで、オウム返ししてるだけじゃないか、と文句を云いたくなります。ただ、これに対して、direct method は、日本語で考えていることをそのまま英語にしても英語にならないじゃないかとか云い返すわけです。それに対して、grammar-translation は、また、いや、高度な語彙力と文法のルールを学べばそんなことない、……なんてけんかをはじめます。いや、けんかしたのを見たことはないんですけど、考えの対立っていうことはそういうものです。 ところで、error ってどうしておこるんでしょうね。さっきの辞書には、この3つを上げています。
a. borrowing patterns from the mother tongue
これは、L1 の語彙や文法構造をそのまま訳そうとして、L2 ではそうはいわないというパターンです。 たとえば、「…の足をひっぱる」というときに、pull sb's leg というとか、あるいは、ネイティヴに明日プレゼンで緊張しているんだと話をしたら、Break a leg! と云われて、階段から落ちろとでも云うのかと思ってマジギレしたとか、そういうのはこの例ですよね。この2つの慣用表現を知らなかった人のために、LAAD の定義を載せておきます。
pull a leg = to tell someone something that is not true, as a joke Break a leg! used to wish someone good luck, especially someone who is acting in a play
こういう間違いは grammar-translation method で多く起こりそうですね。
b. extending patterns from the target language
例えば、「過去形には -(e)d をつける」という原則を学んだ学習者が、 *Anna leaved Mark. She goed to her ex-boyfriend's place. のような発話をすることなどです。この誤りの類は、direct method に多く出る間違いです。というか、ネイティヴの子供も話せるようになる過程ではこのような間違いをします。
c. expressing meanings using the words and grammar which are already known
でも、a, b だけじゃないんですよね。 「知っている単語だけで表現しようとすること」でも間違いが起こるんですよね。 You did the same thing before. という文章を作るだけの語彙力、文法力がなかった人が、 I know,... you,... did it... のように云うことです。 まあ、いずれにせよ、error は起こるんですね。error は、L2 に到達する過程で必ず起こります。というか、L2 を内在化(internalize) する過程においては必要なものです。