Write to Do the Right Thing

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5月出版予定の本のまえがきを公開します.

5月下旬におそらく出されるであろう中級者向けのTOEIC本のまえがきの下書きを公開します.一応ぼくは著者の1人ということになっています.いまはまだ出版社やタイトルなどを公開する時期ではないので,それは控えておきます.というかぼく自身もよく知りません.

実際の本にはこのまえがきは載りません.本当はこう書きたかったのですが,字数が足りず,大幅にカットし,一部表現を改めました.さらに,編集者によって大きく内容を変えられたので,実際のまえがきはこれとはまったく違ったものになっているはずです.

ひそかに尊敬しているTOEICの専門家が述べているように,著者と編集者,あるいは出版社(の営業サイド)がどういう本として売りたいかという意見は分かれることはあります.短期でのスコアアップを目指している人,特に現状のTOEICスコア(および実力)が400点前後の入門者・初級者はぼくをはじめとする著者人は読者として全く想定してません.細かいことを云えばきりがないですが,著者サイドとしての想定している読者はこんな感じです.

①現状のスコアが400点以上で長期的にスコアアップを目指している人

②現状のスコアが600点以上の人

②はたぶん出版社や編集者側ともそれほどずれはないはずですが,①はなかなか編集者にも解ってもらえないようで残念です.勿論,①②に当てはまらない人が本を買ってくれることは嬉しくないことはありません.でも,その場合もこちらのターゲット層をある程度示すことでどのような本の使い方をすればいいのか提示することにもなるので,このまえがきの書き方がベストかどうかはともかくとして読者をある程度選んでいるのだ,という著者側の態度は出すべきだと考えています.

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 「えっ,じゃあ,正直なところスコアはどうでもいいんですか」

某大企業のビルのロビーで語学研修の打ち合わせ中,ぼくはこんな質問をしました.濃いピンクの派手なスーツを着た美人の研修担当者は不思議そうにぼくを見つめ,唇を丸めたまま,悪びれる様子もなくこう云いました.

「ええ,英語の実力がなければ現場で使えないので本当は評価しません.給料を抑えたり,退職を勧告する理由にできますし,社員に余計なことを考えさせず仕事と学習だけに集中させられるので,スコアというのは会社にとって便利な道具だと思いますけどね」

「そうですか……(苦笑).ところで,ご自身はスコアや英語力を要求されたりはしないんですか」

すると,不快そうに,短すぎるスカートにつつまれた脚をだらしなく組み替えながら,その女性はあっさり答えました.

「私,父がアメリカ人で,帰国子女ですから満点近く普通にとれてしまうんです.だから,低いスコアの人たちのこと正直理解できないんです.ところで私がハーフだってこと,私のこの容貌から気づきませんでしたか」

「そういえば,容姿とか言動がParis Hiltonにそっくりですね」

「ひどい.私のほうがずっと可愛いですよ.せめて,Katy PerryかBlake Livelyと云ってくださいよ」

 * * *

ぼくは頭の中で深いため息をつきました.彼女がぼくの云った皮肉にまったく気がつかないほどのb---h(一応書きません.魔女という語と同じ韻を踏みます)ぶりにあきれたからではありません.人事関係者からこういう言葉を聴くのはこれが初めてではないのに,多くの学習者はスコアがすべてだと考えているからです.不思議なもので,人は何かや誰かを狂ったように信じ,簡単に裏切られ,またしばらくすると他の何かにしがみつきます.学習の指針であるべき TOEICのスコアもそんな狂信の対象になり得るのかもしれません.

はっきり云います.目標スコアを獲得しても,それだけで何かが変わるわけではないのです.目標点のスコアシートを手にしたら,あなたは魔法をかけられたシンデレラのような気持ちになるかもしれません.が,魔法が解けてしまう日は必ず来ます.スコアに見合う英語力がなければ, 12時を過ぎたシンデレラのように,あなたはその場に立ちすくむことになるかもしれません.残酷なようですが,この世にすべてと呼べるもの,永遠と呼べるものなんてないのです.数年後には忘れられている人気絶頂だったスポーツ選手や俳優を思い出してみてください.

「そんなこと云われたって会社にスコア要求されてんだから,仕方ないじゃん」──この本はそんなあなたのために書きました.33の解法ルールは,幅広く応用が利く本質的なもの,総合的な英語力アップなしには使いこなせないものだけを選びぬきました.本書の内容をマスターした頃にはスコアにふさわしい英語力がつくようにいろいろな工夫をしました.

単に目標スコアアップにとどまらないあなたの英語力の向上を本当に祈っています.

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「会社は社員を支配の道具として扱う」「この世に完全なものなんかありえない」というのは耳に心地よい響きがしないかもしれませんが,本当は生きていくには知らなければいけないことです.逆に,「本気でやればあなたの人生が変わる」とかいう耳障りのいい言葉はぼくは嫌いです.虫唾(むしず)が走ります(vomitable, pukeonable).

この本の細かい内容については今後少しずつ明らかにしていきます.この本も随所に細かい工夫を凝らしています.また,校正作業を共著者と進めていく中で,ぼく自身がいろいろなことを学びました.それらもできるだけ本の中に入れています.が,……新しい切り口で本をつくろうとはじめのころは意気込んでいましたが,失速した感じです.たぶん,この構成をとる本が先に出てしまう可能性があるからです.また,現在のTOEIC本としては致命的な欠点もあります.某企業の対応なんかを見ていても,悪いところをひた隠すのはよくないと感じているのでこういうこともいずれ表に出していきます.