Write to Do the Right Thing

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Nowhere But Here ここではないどこかへ

 ついに3刷に進みます.

TOEIC TEST きほんのきほん

TOEIC TEST きほんのきほん

 

 学校関係で採用して下さるところが増えたみたいでこの時期に直接注文が加速したようです.非常に喜んでおります.

 

第3刷にあたって,よりUser-Friendlyにするためにいくつか修正を加えています.文脈がないとわかりにくいところに例文を足したり,初級者には難しいと判断した部分の文構造を変えました. いろんな考え方があるでしょうが,ぼくは新しい刷に進むたびに出来る限りの修正をします.完璧はむりでも,常に「よりまし(more or less preferred)」を目指したいからです.

 

ただ,このことが上手く行くとは限りません.刷ごとに表記が変わると教室などで使用した場合,同じクラスで「なんか私の本では違う」ということは考えられます.実際,あまりに誤植が多いという理由でいままで『きほんのきほん』をテキストと採用して戴いていた研修会社が今年は見合わせるというような話も聞いています.

 

著者としては親切心から誤植などを見つけたら出来るだけ迅速に公開したいと考えるのが普通だと思います.でもそうすることが,売り上げのマイナスになったり,揚げ足とりになるから黙っていたほうが賢いということがでてきます.なんだかなあ,と思いますが,世の中は難しいのでしょう.

 

ところで,最近考えているのは,ここではないどこかにアクセスしたい,ということです.どういうことなのかというと,インターネット上やあるいはぼくはあまり行かないのですが英語の本を書いたり,英語の学習者の集まりで出会える人というのがいて,メンバーはある程度固まっています.ぼくはレヴェルを問わず,そういう人たちでないところに行きたい,と思ったりします.

 

ひとつは初級者です.ぼくは適切な人に適切な教材が届くことを考えています.教材の売れ行きと質が必ずしも一致しない理由として,学習者は自分ができない何かを求めて教材を購入するわけだから,よほどセンスが良くないと教材を自分では選べない事情があります.だから,この面では教材の作り手が学習者を責めるのは筋違いです.

 
しかしながら,最近起きている問題はインターネットによって「元学習者」が自分の学習歴を披露しながら,有名人になり教材を紹介したりすることができるようになった,という本来よいことから始まっています.
 
何が問題なのかというと個々の目標や能力や学習法にはバラツキがあるはずなのに彼らの行なう「選択」が過剰に「一般化」されてしまい,それと同時に企画をする教材の作り手が一般的な学習者のニーズを探るより効率的だという理由で,彼らを先に見始めました.その方が儲かるという事情もあるのでしょう.
 

で,ぼくとしては「元カリスマ学習者」や彼らを見てでた教材に文句を云っているわけではなく,そういう教材がカヴァーできない学習者のニーズに応えようとしています.その学習者にどうしたらアクセス出来るかを知りたいだけです.「ここではないどこか」の地図がほしいな,と思います.

 

TOEIC TEST きほんのきほん』はぼくの本としては3刷に進んだから割と売れている方ですが,売れ筋の他のTOEIC本,例えば渋谷奈津子先生と横川綾子先生が書かれた『いきなり600点!』とかは僻みではなくたぶん10倍ぐらいは売れています.

TOEIC(R) テスト いきなり600点!

TOEIC(R) テスト いきなり600点!

 

 でも,TOEIC自体のスコアを平均点などから考えると『きほんのきほん』を必要としている読者層のほうが数的には多い訳で,でも,売れないということはぼくの能力が低いということもあるのでしょうが,アクセスのしかたを間違っているんじゃないか,と考えるわけです.

 

これを書くのは憚(はばか)られますが,「TOEICに関してはこの人」とか異様に詳しいタイプの学習者にアクセスしてもしょうがないのでは,と時々考えたりするわけです.

 

最初は全然『きほんのきほん』は売れませんでした.TOEICをよく知っている先生たちからは結構高く評価をして戴いたにも関わらずです.初級者は良い教材を選べないし,自分でお金を払って教材を買わない,ということを考えなくはなかったのですが,少し甘く見ていました.なんとかここまで伸びてきたのは,かなりの数,現場の先生と学校,大学の公開講座の担当者などに本を送ったからです.実際,書店よりもそういう教育機関からの直接注文が売り上げの多くの部分を占めているようです.

 

英語産業をビジネスだけの観点で考えれば,自分のことをわかってくれる人を優遇してリピーターとして大切にする,という考え方が正解でしょう.でも,変な話だが感覚的にそれは違うのではないか,とも思うわけです.

 

初級者以外には,こそこそと開催しているSpeaking/WritingのWorkshopもいままでぼくが直接・間接的に出会ってきた学習者と違うタイプの層にアクセスできないかな,という試みでもあります.でも,それは道場破りのように人の顧客をとっていくわけでもないわけで.

 

だからAnywhere but Here(ここではないどこか)に行きたいとは結構難しいことなのです.実は,ここ数年近いことをずっと考えているわけですがよい方法はまだ見つかっていません.

 

目の前の学習者を大事にする,という考え方は非常に大切ですし,決して反対はしませんが,ぼくはそれとは別に違った世界をちょっと見てみたい気がしていいます.ビジネスにならなくても踏み込めないかな,と思っています.

Anywhere But Here

Anywhere But Here

 

 (この頃のNatalie Portmanはかなり可愛らしかったかな,と思います)