Write to Do the Right Thing

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What misdirects us 600点という点数

最近ちょっと忙しくてブログ記事など書いている暇はないのですが,いま執筆中の教材に関して関係することなので書くことにします.久しぶりに(?),TOEICの話題です.

ぼくのTwitterのアカウントをたびたびご覧戴いている人はお分かりのように,ぼくは決してTOEICを悪いテストだとは思っていませんが,「まずはTOEICで高得点を取ることが大事」という考え方からかなり距離を置いています.それなりの数のTOEIC関係書籍を執筆していますが「ぼくが英検やTOEICのスコアを自分のプロフィールに書くことはないと思います」と公言しているぐらいです.

なぜかというと,スコアや級に意味がない,と思っているからではなくて,それらをどう解釈するかを一部の人が勝手に振り回すと解っているからです.

例えば,「TOEICはビジネスで実際使える英語の基礎力を身につけるには最適」という人がいますが,「身につけるにはなかなかいい素材」ぐらいが適当で,「最適」かどうかはわからないわけです.おそらく英文ライティングの定石では,「最適」と書くとhedgingについて学びましょう,ということになるんではないでしょうか.「そもそもすべてと呼べるものなどない」のですから.

実際の本物のTOEICは『公式問題集』以外は実際受けることしかできないのですから,わざわざ業界関係者以外の人が毎回のように試験を受験して,ビジネスで使われるであろう平易な云い回しを試験中に学んできて,覚えていく,とかいうことが自然な勉強方法のはずはないわけです.やっていけないわけではないですけどね.

で,少し前置きが長くなりましたが,今回TOEIC600点ということについて考えてみます.インターネット上だとTOEICについてモノ云う学習者は900点を超える上級者がほとんどです.この人たちの中には「TOEICでは900以上は最低欲しいですね」とか「スタート地点が最低TOEIC900くらいよね」「TOEIC990とっていないで,TOEICについて大口たたくな」という人もいますが,この人たちはTOEICTOEICで使われる英語に関わってきた量と時間が違うので一般的な英語学習者に参考になるわけではないわけです.

だから,ハッキリ書いておきますが,彼らのような人が「600とか無理だろ」「普通に800は超えて当然」と云ったところで気にすることはありません.実は,600点というのはすでに860点とか900点とかを取っている人にはまるで見えないですが,実はちょっとやそっとでは取れない点数なのです.600点というのは「それなりの英語力がある人の点数」なわけです.「それなり」も「それぞれ」です.その中には,

A 英語でネイティヴの友達とくだらないおしゃべりはなんなくできるけど,かなり文法はメチャクチャ

B 真面目に学校で英語の勉強をしたので,読解や文法にはあまり抵抗はないが,リスニングは苦手,話すことはできない

などいろいろなパターンが見られます.得意とか英語を武器に,とまではいかなくてもそれなりに「何か」がある人なわけです.

だから,Aの人が何かのきっかけで,いままではFluencyベースだった英語学習がAccuracyに注意を払うようになって高得点をとることもあります.

Bの学習者の場合は,逆に学校英語を離れて,音声ベースの英語学習を集中的にやることで急にリスニングやリーディングが伸びることがあります.

学習者としてはこういうことが起こるのはめでたいことなのですが,実はこういうことが起こると学習者はどのように感じるか,ということなわけです.

多いのはAの人は,「やっぱりしゃべる英語なんて無駄なんだな.きっちりとした英語を正確に学ぶのが大事なんだ」と感じ,Bのような人は「やっぱり英語に触れる量を増やさないと,多読に多聴,そして実践だな」と思うことです.

こう思うことはある意味自然なわけですが,考えてほしいのは,Aの人は「片言でもしゃべれた」わけですよね.Bの人は「それなりの英語知識があった」わけです.短期間伸びたのは本来その貯金が大きく作用しているはずなのにそれは見えないわけです.

通常ならば誤解していてもいいのですが,ここでしつこく書いておいたのは,おそらく英語学習に対する考え方の違いでネットで奇異な論争を見ることがありますが,そのきっかけはこの辺にあるのかな,と思うからです.

もう1度書きます.600点は高いと感じる必要はないのかもしれませんが,決して英語力ゼロに近い,英語がすごく苦手な人で取れる点数ではないのです.同時に600点を短期間で900点に上げるような学習法に意識が向きがちですが,実は600点を取っている時点ですでにそれ以上に行くベースができている,ということを無視しているわけです.実際,何年受験しても200点程度の人が600点を取るのはすごく大変なはずです.

 

追記(3/6/2017)

その後,600点目標の学習者のためにを出すことになりました.ご笑覧ください.