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Do you wanna be evaluated? テストとは何か

英語教員、TOEIC“合格”2割 京都府中学「資質」はOK? (京都新聞) - Yahoo!ニュース

このニューズが関心を集めているようです.案の定,現場に近い人は英語教員の適性をTOEICで測ることの是非を指摘することで英語教員を擁護します.また,当然のごとく,ITやコンサルティング業などに多い自衛の人,もしくはそれに近い立場にいるエリート会社員の人たちは「こんな点数の低い人クビにして欲しい」とか「そもそもTOEICじゃなくてTOEFLだろ」というような反応を見せたりします.でも,おそらく大半のフツーの人は「ふうん」だと思います.何が起きているのかよく分からないのが正直なところでしょう.

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一応,TOEIC本を書く著者の立場からすれば,730点って中学生が勉強する英語に毎日触れているだけではとても届く点数ではないです.ただし,同時にそんなに難しくもない,とすでに遥か上のスコアを持っている人が感じるのもわかります.別に話せなくてもいいのですが,例えば,この辺の単語ならスラスラ処理できなければいけません.

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 ぼくは中学英語に明るくないですが,おそらくこんな単語は英語としては一般的に難しくはなくても中学校の教科書あたりでは普通出てこないと思います.中学校の先生は中学生が習う英語を読む・聴くはもちろん,話す・書くもある程度できた方が学習者には益をもたらすと思いますが,それを測るのにTOEICが適切かは微妙であり,ましてや730点をとる能力が必要とは思えない,というのが正直な感想です.

しかし,気になるのは,こういったことが起きると現場を擁護するという形で「日本語と英語の比較による言葉のしくみに対する純粋な好奇心」をもたらすのが英語教育者の仕事とかなんだかよく分からない意見を云う人も出てくるのですが,ぼく個人は,この自分の言語観を学習者に押し付けたがるタイプの教育者も冷ややかに見ていくべきだと思っています.大概の指導者は,このような意見を聞いて「そうか和訳と文法だけでいいのか」と思うからです.

ただ,上に書いた通り,多くの教育の現場に近いところにいるわけでも,言論を司(つかさど)る人たちではない普通の人たち(当然,一般的な中高生の学習者やそういう学習者を子供にもつ人も含まれます)はよく分からないわけですから.それより大事なのは今一度,良い悪いとかを無視してテストとは何か,ということをよく考えてみることです.

テストというのは能力の測定に使われます.これは英語でよくいうexamという範囲の大きな試験です.試験がどのように使われるか,とかどのように点数が出されるのか,というのを無視するとここはわかりやすい話です.

ただ,テストにはもうひとつの機能があります.それは勉強への強制力です.普通の人は怠け者で勉強しないので,試験があると勉強するというやつです.ただ,これは基本的にはquizと呼ばれる類のもので,範囲がわかっていることを勉強します.まあ,範囲がわかっていると英語で和訳出すテストだと和訳を覚えれば英語の勉強を全くしなくても点が取れてしまう,という問題があります(おそらく上のexam系のタイプのテストはそういう欠点を埋める形で生まれたのでしょう).とにかく,勉強のペイスメイカーという役割をテストは演じることもあります.

いわゆる試験対策というのは前者のテストでいい点を取るために後者の勉強方法で成り立たせるためのものと考えることもできます.範囲が分からないのが,総合的なテストの真骨頂なのに,こういうテーマが出るとか,こういう語彙が出るとかいうことを示すことで勉強することを絞っていきます.このことがいいかどうかは知りませんが,こういう試験対策があるがゆえにある特定の試験対策のプログラムに放り込めば本来試験が測ろうとしていた能力が身につくはずだ,と考える人が増えてきました.英語に限らず試験対策で能力や知識が伸びないはずはないのですが,それが限定的であることがそのプログラムに関わっている当事者以外には見えない,これは問題だな,と思います.

(つづく)