Write to Do the Right Thing

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English Profile Studies #6 本物の改革派はどこにいるのか

 ちょっと嫌なことを書きますが,ぼくは日本はきちんとした民主政体(democracy)の国ではないと思っています.だから,政治的に重要な案件がフツーの人の知らないことで決められます.そのこと自体は,先進国と呼ばれるドイツやアメリカだってあるのでしょう.ただ,政治とは離れたもう少し小さなグループで行なわれるあまり活動的でないフツーの人を含めて何をやっているかが全く可視化できないようなシステムで,このdemocracyに対する無理解が影を落としているのは少し悲しい気がします.

English Profile in Practice (English Profile Studies)

English Profile in Practice (English Profile Studies)

 

 で,今から書くことも本当は事情通な人はすでに知っているか,噂に聴いていることなのでしょう.でも,研究者でもない,英語教師でも学校関係者でもない,あるいは英語教育関係の出版社や英会話学校や予備校を含めて民間の英語サーヴィス産業の人たちでもない人は(というか,これらに属する人の多くも)おそらく知らないんじゃないかと思って書くことにしました(たぶん面白くない話なのでごめんなさい).

最近,英語公教育がどうあるべきかという問題に関しては,あまり云わず自分は教材を作っていき,それを売っていくことにより力を入れたい(これはいい教材を書くために勉強したりすることも含みます.本当のプロならこういうことは書いちゃいけないのですが,ぼくは未熟者なので一応云い訳して書いておきます)ということをこのブログでも述べています.というのは,大きくはぼくはこの問題に取り組んでいる本当の改革派の存在に基本的に賛成していて,彼らに力を貸すことはできないけれども,気持ちとしては支持しているからです.

で,フツーの人にとっては,はっきり名前を出してしまいますが,現在の日本の英語教育への改革派が上智大学の吉田研作先生であり,実際は予備校講師の安河内(やすこうち)哲也先生がスポークスマン役をしていて,それに対して,意を唱えているのが明海大学大津由紀雄先生だったり,東京大学斎藤兆史(よしふみ)先生だったりします.ついでに,云い方は失礼ですが,自分の考えが時代に合わせて変えざるを得なくなったのは悪いことではないのですが,知識人であればどう変異していったかを正直に語るべきなのにそれをしない不思議な先生ですが,過去に有名な通訳をしていたらしいので(ぼくは知りません)一般的には人気がある鳥飼(とりかい)久美子先生のような人もいます.

上智大学がTEAPの開発をしているだけあって,前者と後者の2つだけを較べれば,たぶん前者の方が勢力が大きいのでしょう.ただ,現場の英語の先生は後者の大津先生の言語観に賛同する人もかなりいます.実はぼくはちょっと違うな,と思っているのですが,ぼくが一緒にライティング本を書いている先生も大津先生に賛同できる部分がある,と云っていたのを覚えています.で,ここまできて何をという話なのですが,両者も外国語言語能力の正確な記述とそれを達成していくためのプログラムを組むための大きな絵を描くことはしていない意味で,英語教育関係のあり方を決める上で両者のどちらを押してもそれはただのデモとかの政治運動と変わらないと思います.もっと政策を決める上での知識を持っている集団に目を向けるべきです.

で,ようやくそろそろ本題に入るために,上記とそれた話をしますが,Cambridge University Pressから出ているEnglish Profile Studiesというシリーズがあってこれは今の所5巻まで出ています.でも,フツーの人はこんなものは読みません.ヨーロッパという自分とは関係のない世界のことだろうとみんな思っているので,よほど進んだ人しか読みません.ぼくもちょっと目を通した程度で読んだとは云えません.でも,近代人ではない日本人はこうやってヨーロッパやアメリカが作ったシステムを輸入して生きてきたので,学習指導要領もヨーロッパのCEFRやアメリカのACTFLを適当に変造してやってきたし,たぶん,これからも続けるのでしょう.でも,どうせなら,ある程度,向こうが本当に何をやっているのかわかっている人たちが作った方が,向こうのCEFRなどをわかりもせずにファッションで輸入している人たちの云うことを真に受けたり,個人レヴェルの体験でしかない達人先生の英語学習法を強制するよりは「よりまし」だとは思いませんか.

さて,このEnglish ProfileはまもなくVol. 6が出ます.驚くなかれ,ここで日本の英語教育が扱われます.そして,著者の中にはもちろん日本で外国語教育に従事している人たちが登場します.ぼくはこの人たちが本物の改革派だと思っているので,前にあげた両者の対立軸でものを見ることはしません(正直,どっちもそんなに好きじゃないんですよね.ああ,また余計なことを書いてしまった).だから,この本物の改革派を静かに見守ることにします.まあ,ここに本物の改革派がいることに気づかないのが日本の悲劇ですよね.できればフツーの人でもこの問題に関して,人よりも通でいたい人はこの本を読んでみてください.ぼくも出来上がり次第,発注して読むつもりです.嫌な書き方をしますが,他の情報は追いかけるだけ無駄です.一見錯綜している状況にあるときだからこそ,自分のできることをしながら,一見役に立たなそうに見える本物の知識を手に入れることが大事なのです.ヨーロッパの人はこういうとき,例のHegelの引用をするんですよね(嘘です.ただ,引用したかっただけです).

The owl of Minerva spreads its wings only with the falling of the dusk.