Write to Do the Right Thing

I create things and write about them here as well as other stuff. Views are always mine.

Turned out to be nothing なんてこったい

 

何年かが過ぎた.奈緒子さんは大学を出てからすぐには就職しなかった.奈緒子さんが大学を卒業する頃には,旦那さんは有名な弁護士事務所で働いていて,生活のためには働く必要がなかったからだ.

旦那さんのおかげで,都内の高級住宅地に住むことができた.ここは外国人も多い.奈緒子さんの希望もあって,彼はそういう場所を選んでくれた.だから,ガーデニングのワークショップに行った時に出会い,親友になったフィンランド人のカトリ(名前のつけ方が安易)をはじめ,近所に外国人の友達もできた.

子供はできなかったが気にもしなかった.最も欲しいとも思っていなかったけど.奈緒子さんは,社会人ならば当たり前のように経験する生活感のようなものを嫌った.そこは自分のあるべき場所ではないような気がしていたからだ.そう,大学生の頃に短い期間であったあのセスの澄んだ目のように綺麗なものだけ見ていたかった.

そして,生活感とは切り離された生活ができることを非常に嬉しく思って居た.しかし,ただ一つだけ引っかかることがある.それは,奈緒子さんが旦那さんを愛していないことだ.いや,今は愛しているかもしれない.だけど,結婚して,という時はそうじゃなかった.ただ,自分の人生をスタート・オーヴァーしたかった.

スターティッ・オーヴァーっていうのは奈緒子さんの好きな言葉.いつのことだったかある政治家が「日本をリセットしたい」と云って居たけど,英語のできる奈緒子さんはそういう言葉は使わないのだ.普通の英語を話す人はStart it over.という.今までの自分に別れを告げて新しくやり直す.それがスターティッ・オーヴァーだ.