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Write to Do the Right Thing

I create things and write about them here as well as other stuff. Views are always mine.

本には書けないこと<2>

TOEIC TEST きほんのきほん:  どう勉強していいかわからない超初心者に、一歩一歩道筋を示します [単行本] / 石井 洋佑, カール ロズボルド (著); 国際語学社 (刊)

さて,今回も本の中には少し書きづらいことを書きます.読者を選ぶ,毒のある内容かもしれません.実は,この本(↑)売り上げを伸ばすこと自体はぼくにとっての究極の目標,というよりもこの本を通じてぼくが本当にしたいことではありません.こんなことを書くと国際語学社の小田実紀(みのり)編集長をがっかりさせてしまうかもしれませんが.

自分でこんなことを書くのは本当はいやなのですが,この本の内容には自信があるので,それなりにこの本に取り組んでいただければ,TOEIC対策の基本となる英語力を比較的短期間に身につけることができると信じています.スコアも600点,730点という高得点となると苦しいでしょうが,200点前後でぜんぜんスコアが動かない英語が苦手な人が400点台,500点台に進むことは比較的容易に行くと思われます.

ただし,ぼく自体はこの本を使って短期間でスコアを上げて,ビジネスパーソンとしての勝ち組になってもらう読者を想定してこの本を苦しい思いをして書いたわけではありません.むしろ,その逆です.ぼく自身はビジネスパーソンとしての競争があることは必要悪だということは理解していますが,あまり勝ち組を目指して負け組を見下す風潮はあまり好きではありません.

ぼく個人も英語に関しては自分にかなりのお金と時間を通してきました.だから,努力をせずに結果をいそぐ学習者に対して英語教育者や英語ができる人がなにか云いたい気持ちはわからなくもないんですね.それに不思議なことに,文学出身でない国内の英語学習者は結構アメリカの自己啓発的な本をよく読まれていて,「がんばれば願いがかなう」的な考えを信じている人が多いです.だけど,実際,英語ができてそれで食べている人が,ずーっとできなかった歴史を引きずっている人に対して「お前は努力が足りないんだよ」というのはちょっと違うと思うんです.英語ができない人も英語以外のことに関してはそれこそ血のにじむような努力をしている人もいるかもしれませんし.

話が少しそれました.実は,ぼくがこの本を書いたのは,世にいる「負け組」と解釈しかねない人が最低限の努力で「勝ち組」から努力不足を指摘されないで,仮に「勝ち組」になれなくてもそれなりに人生を楽しむことができるし,そういう人の手助けをしたいと思って書きました.

実際,「負け組」から「勝ち組」になることはまれで,努力以上に才能と運が影響します.でも,権力者側は非権力者側に自分が最大の利益を得るために,「負け組」のすべての人間が「勝ち組」になるように努力させようと仕向けます.しかし,書いたように,ほとんどが「勝ち組」にはなれないんですね.

しかし,マルクス階級闘争ではありませんが,よほど「負け組」が団結しない限り,普通のやり方で「勝ち組」に刃向かうことを許されません.大事なのは,「勝ち組」に入る努力をしているようにみせかけて,あるいは最小限の努力を行ない,「負け組」にいながらも自分なりの人生をできる範囲でデザインしていくことです.

ここまで,わざと「勝ち組」「負け組」という言葉を意識的に使ってきましたが,この情報社会では,価値観はどんどん変化しています.だから,いまのビジネスにおける「勝ち組」の価値観が永遠に効力を発揮するかどうかはわからないので,「負け組」にいながらも,自分の好きなことに時間を費やし,感性を磨けば,もしかすると価値観が逆転して「勝ち組」になることだってあり得ます.

ぼくはそういうことを考えながら,この本を書きました.『きほんのきほん』には他人にスコアで差をつけるようなトリッキーな問題は入っていません.鉄板中の鉄板,高得点者から見れば余裕で空気や水のようにこなせるアイテムを繰り返し初級者が学習できるようにデザインしてあります.

ただ,「負け組」になってもいいと思うターゲット読者が自分で本屋さんやアマゾンで本を買わないので苦しんでいます.そこは,繰り返しますが,英語を教えるような立場の人が進めたり,教室で使ってくれたりしてほしいところです.というのも,これもこんなことを書いてしまってもいいのかと思いますが,英語の先生というのも英語学習の「勝ち組」ではあっても人生,というよりビジネスにおいては「負け組」に近い人も少なくありません.だから,偉そうながら,そういう人がTOEICは詳しくなくてもこの本に沿って授業を行なえばTOEIC対策がきちんとできるように,ぼくとカールは『きほんのきほん』を作ったつもりです.で,比較的準備に時間がかからなければ,こういう英語の先生が自分の好きな英語に触れたり,趣味や家族のための時間を作ったりもできて,そのことがその先生だけでなく生徒や社会にもプラスの影響を与えるかもしれない,そういうことを考えてだしたのがこの本です.

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